インドア世界

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「僕は君を殺せない」の短編小説「春の遺書」の方が面白い

 「僕は君を殺せない」には短編小説が2つ付いている。その1つ「春の遺書」がとても良かった。正直「僕は君を殺せない」より好き。

「春の遺書」

脳卒中で入院していた祖父が亡くなってすぐに祖父の弟の康二郎がその後を追うように自殺をした。主人公で祖父の孫である私は祖父から軽井沢にある別宅の納戸を貰う。そこで夜寝ていると突然金縛りに襲われる。部屋の中に誰かがいる。それは亡くなったはずの康二郎だった。幽霊の康二郎は納戸の部屋で何かを探している。康二郎は私を見ながら何かを言い涙を流しながら口から紙片をこぼした・・・

 

こういう「幽霊」とか「不思議な力」みたいなのが出てくる小説苦手なんだけどこれは読めた。短編小説って事もあるんだろうけど。あと、この作家さんの文章は読みやすいってのもある。

読んでいくと祖父とその弟の康二郎の関係がだんだん分かってくる。なぜ自殺をしたのか?なぜ幽霊になってまで祖父の納戸に現れるのか。読み終えたら最後に心がスッとする。何かを得られるような作品ではないけど読んで良かったと思える作品だった。

「2度読み必至」とか「誰も想像しない驚愕のラスト」みたいな煽りをしている「僕は君を殺せない」より全然おもしろい。

 

僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)
集英社 (2016-02-19)
売り上げランキング: 78,583